世界各地では紛争や貧困、難民、環境・衛生、医療提供の不足など様々な問題を抱えています。これらの問題解決や世界の人々に支援を行う国際団体は数多くあり、多くの人がボランティア活動や募金活動に協力しています。紛争や貧困などで起きる餓死をなくす取り組みをしている国連WFPは、2018年3月に日本政府がWFPを通じて人道支援を行うことを公表しました。日本政府はどんな人道支援を行ったのか、支援の概要や国連WFPについてご紹介しましょう。
国連WFPとは
国連WFPは「国際連合世界食糧計画」の略で、食糧が欠乏している国の食糧支援や、自然災害の被災国の緊急援助を行っている国連機関です。食糧を届けるだけではなく、途上国の地域社会と連携して栄養状態を整える取り組みや社会づくりも促進しています。食糧の欠乏による餓死は世界の各地で起こっており、同団体は毎年約80ヵ国、8,000万人以上に支援を行い、飢餓のない世界を構築することを目指しています。
日本政府の人道支援の概要
国連WFPニュースによると、2018年3月、日本政府は国連WFPの人道支援活動に資金拠出すると決定しました。支援した額は7,225万米ドルで、日本円にすると約77億円です。
2017年は10年ぶりに餓死人口が減少したものの、再び世界の飢餓人口は増加に傾いており、現在は8億人以上の人々が苦しんでいます。今回、日本政府が決めた人道支援ですが、これは2016年9月に開かれた国連サミットで、安倍晋三首相の表明を具現化されたことになります。当時、サミットでは難民移民に人道支援と自立支援を行い、2018年までに受け入れ側の地域にも支援に28億米ドルを拠出することを表明していたのです。そして、決まった拠出金の半分以上4,050万米ドルを中東諸国の支援活動にあてられることが決まっています。
国連人道支援航空サービスへの支援
国連WFPが支援のために国へ向かう時、陸路が危険な地域があるので飛行機で移動することが多いです。しかし、危険な地域はほとんどの航空会社が乗り入れしていないため、同団体や他の国連機関の支援物資や職員の輸送にICAO基準をクリアした飛行機の管理や輸送を行っています。この取り組みを国連人道支援航空サービスと呼び、日本政府の拠出は同サービスでも活用されるようです。
今回の日本政府の支援はサミットの表明に基づいて実行されたものであり、国連WFPの支援活動にあてられ、食糧不足に悩む中東諸国などへの支援に役立たれます。同団体の日本事務局は、食糧による人道支援と開発支援、平和構築の推進を積極的に取り組んでおり、日本政府の拠出により飢餓根絶の一歩に貢献したのではないでしょうか。